映画「エソラ」とカミングアウトについて、もう一度再考してみる。

 またまたこんにちは。スタッフの田中昭全です。次の金曜日にはついに、写真展の展示作業を行います。ぼくとぼくのパートナーの川田(川田中商会)が主導する予定ですので、どうぞよろしくお願いします。
 ボランティアスタッフとして関わっていただく皆さんにはもう、感謝しかありません。400枚強に及ぶ写真の展示です。当日は朝から夜遅くまでかかったとしても、どうにかこうにかやり遂げようと思います。できる範囲でご協力くだされば、と思います。
 昨日は展示に必要な材料を注文して来ました。展示日まで置いておく場所がないので、近くのホームセンターで取り置きしてもらう形にしました。


 シンプルに見える展示でも、その裏には様々な工夫が凝らされています。こんなにも大掛かりな展示はぼくらも初めてなので、試行錯誤しながらの作業になるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

 同時に、広報活動もいよいよ佳境を迎えています。先日は代表の高野晶が、テレビや新聞に取り上げられたようです。本業の合間を縫って、スタッフのみんなもそれぞれに動いてくれています。



 ぼくは2013年に、「エソラ」というタイトルの短編映画を監督しました。脚本を作り始める話し合いから、最終的な編集作業が終わるまでかかった期間はまるまる1年。もちろん全てボランティアでしたが、その分やりたいようにやらせてもらえたので、とてもやり切った感があります。初めてのドラマ作品だったのもあって稚拙な箇所も多々あったかとは思いますが、持てるものの全てをそこに注ぎ込みました。今でもちゃんと、誇りに思える作品です。
 地方で、ゲイであることをオープンにして生きているぼくとぼくのパートナーのプライベートを、映画の中にもいくつか持ち込んでいます。そのひとつが、映画の舞台となった「LAZYBONES」という喫茶店です。主人公たちがその気持ちに悩み相談する店主は、まさに現実におけるぼくとパートナーが一緒になってからの11年間をずっと影から見守ってくれている『その人』なのです。ふたりがラブラブな時も、大喧嘩してセンシティヴになっている時も、ふたりでイベントを企画して運営している時も、ずっと静かに見守ってくれていた大切な友人であり、人生の先輩なのです。もちろん、映画でもその本人に本人の役を演じてもらいました。
 この映画はYouTubeでも見られるので、よかったらご鑑賞ください。(配給は「プラウド香川」が担当しています。上映会などのご相談は、そちらにください。)


 この映画が完成して、早5年が経ちました。完成した直後は客観的に見れなかったのですが、最近はようやく分析しながら見れるようになりました。
 地方における「カミングアウト」が困難な理由のひとつに、『ゲイであることが特殊な事例と考えられてしまうこと』がとても大きいような気がします。この映画では、男性が男性をすきになることを『大したことではない』ように描きました。そこに苦悩しているのは、主人公の和真だけです。彼が恋心を抱く相手の宏之も、友人の浩子も、喫茶店の店主も、そのことにはさほど驚いていません。むしろ、最初から何となく感づいていて応援しているような行動を取ります。
 しかしその和真は、まさにぼく自身の『現し身』でもあります。香川県の片田舎で暮らしていたぼくも、かつて『ゲイであること』は誰にも言えませんでした。それは、それを理由に拒絶されることが何より怖かったからです。身近な人から段階的にカミングアウトして受け入れられるにつれ、その恐怖心は徐々に薄らいでいきました。『個人対個人の信頼関係さえできていれば、ぼくがゲイであることなんか大したことじゃない。』そんな事例がたくさん積み重なったからでしょうか。
 生涯を共にしようと思えるパートナーができてからは、オープンにしました。そしてむしろ、生活上の不便がたくさんあることについて疑問を持つようになりました。その辺については、こちらの記事を読んでいただけたらと思います。

 先日、OUT IN JAPAN SETOUCHIのチラシをその店主に持って行きました。特にはっきりした応援の言葉をかけてくれるわけではありません。それでも、興味深く話を聞いてくれ、チラシをしげしげとながめてくれ、ぽつりぽつり言葉を返してくれる様を見るにつれ、『ここはぼくらのホームグラウンドなんだ』と思うこと然りなのです。


 「OUT IN JAPAN SETOUCHI」も、副題の「LGBTカミングアウト・フォト・プロジェクト」が示すように、『カミングアウト』というものからは切っても切り離せない企画です。LGBTであることを自認する人がみんなカミングアウトしなくてはいけないわけではないし、するとしてもそのタイミングは自らで推し量るべきです。だから、参加する人がいても参加しない人がいてもそれは当たり前だし、第3者がとやかく言うものではない。しかし、こういう機会が香川にも訪れたということだけは、より多くの人に知ってほしいと思うのです。
 カミングアウトをしている人も、カミングアウトをしていない人も、身近にLGBTの友人や家族がいる人も、いない人も、レスリー・キーの写真が気になる人も、何となく気になっているだけの人も、ぜひ会場に足を運んでもらえたらと思います。





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OUT IN JAPAN SETOUCHI
106()108(月・祝)
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