ふたりはもうとっくに「家族」なのに、国がそれを認めないのは差別以外の何ものでもありません

「ここにいるよ」(コラム)

LGBTの人たちは、実は身近にいます。最新の調査では、セクシュアルマイノリティの人たちは、全体の7.6%(電通調べ)と言われています。これは小学校のクラスに約3人いる計算です。見た目だけでは分からないので「いない」のではなく、なかなか「言えない」ことが多いのです。このコラムでは、自分らしく生きる香川のLGBTの方々の今を発信します。


タイトル:ふたりはもうとっくに「家族」なのに、国がそれを認めないのは差別以外の何ものでもありません

アーティスト 田中 昭全(タナカ アキヨシ)さん
聞き手 岡 薫(アライ)


今年4月にテレビ放送され、話題になったドラマ「おっさんずラブ」。男性同士の純愛にキュンキュンした人も多いだろう。しかし、それは決してドラマの中だけの話ではない。三豊市に住む田中昭全さんもまた、2007年にパートナーの男性と知り合い意気投合、以来11年間、家族として共に暮らしている。
 

 田中さんの初恋は、中学1年生の時。気づけば、同じクラスの男子を好きになっていた。しかし、「誰が好き?」「どんな人がタイプ?」というクラスメイトとの会話には、いつも女性タレントの名前をあげていた。本当は好きな人がいるのに、その恋心は誰にも言わなかったし、言えなかった。

 インターネットのない時代、自分のセクシュアリティについて知るには図書館に行くしかなかった。「同性愛者」と言われる世界の偉人について書かれた本を見つけて読んだが、現実離れし過ぎていて自分がそれであるという実感は湧かなかった。周囲に「ゲイであること」を打ち明けられぬまま高校を卒業すると、自分のセクシュアリティから逃避するようにアート活動に打ち込んだ。二十歳を過ぎた頃から、「彼女はいないのか?」「そろそろ結婚したら?」など、両親から「結婚」の話題が持ち上がるようになると、ますます言えない苦しさに苛まれた。

 そんな23歳のある日、親友の女性から何気なく「好きな人はいるの?」と聞かれ、嘘をつきたくないという思いから、初めてのカミングアウトをした。「話し始めると涙があふれてきて、泣きながら1時間くらいしゃべり続けました。彼女はそんなぼくをすんなり受け入れてくれました。『田中くんは田中くんだから』と。誰にも相談できずひとり抱え込んでいた重い荷物を、そこでようやく下ろすことができたんだと思います」

 うまくいかない恋愛をいくつもやり過ごしていた田中さんが、現在のパートナーと出会ったのは、セクシュアルマイノリティのサポートグループ『プラウド香川』が主催するクリスマスパーティだった。出会って一週間後の大晦日、田中さんの人生を変える出来事が起きた。「『大晦日何してる?』ってメールが来て、一緒に年越しをすることになった彼と、鍋をして、紅白歌合戦を見てたんですけど、日付が変った頃ふいにキスをされて……。そのまま同棲が始まりました。だから、僕たちの記念日は11日なんです。『結婚状態』になって、今年で11年目になります。彼とはたぶん、死ぬまでずっと一緒です」。パートナーと付き合いはじめたきっかけを話す田中さんの表情は、とても幸せそうだ。

 (右:田中さん 左:パートナー)
 
田中さんは2013年、田中さん個人の名義で一軒家を購入した。お互いの親も公認し、周囲の友人たちも男女の夫婦と同じく「カップル」として受け入れている。しかし、婚姻が適用されない田中さんカップルは、戸籍上の「家族」にはなれない。8歳年上の田中さんに不幸があったとしても、田中さんのパートナーが家を相続することはできない。現行法では養子縁組をするという方法もあるが、戸籍に記される続柄は「親」と「子」になってしまう。
 
そうした制度の不備に困っている全国455人の当事者が、「同性婚が認められないのは人権侵害だ」として、日弁連(日本弁護士連合会)に人権救済申立てを行ったのが20157月。田中さんカップルも、そこに名を連ねた。

「ぼくらはオープンにできてるからまだいい方です。両親が理解してくれなくて、絶縁状態になったまま同性パートナーと暮らしている人は、死後に残された財産を血縁者に持って行かれるケースがあるんです。例えふたりで築き上げたものだとしても、です。また、同性婚のある国で国際結婚をしている日本人については、相手方の国では配偶者ビザが下りても、日本では下りません。結局、その関係を有効にしたかったら、日本から離れて暮らすしかないのです。男女の夫婦であったら当然のように保障されているものが、同性間に保障されていないのはあまりに理不尽じゃないですか。制度がないということは、国がぼくらに対して差別をしていることと同義なんです」
  


三豊市を拠点に、イラストや音楽・映像作品にデザイン・アート・イベント企画など、幅広い分野で活躍する田中さん。『瀬戸内LGBTプロジェクト』のアイコンも、彼が手がけたものだ。誰の人生にも虹をかけることができるという、ふんわり優しい世界が表現されている。
 世界的に活躍する写真家レスリー・キー氏が、今度は彼を被写体として撮影する。どんな表情を見せてくれるのか、今からとても楽しみだ。


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