“私が目醒めた”1枚

「ここにいるよ」(コラム)

LGBTの人たちは、実は身近にいます。最新の調査では、セクシュアルマイノリティの人たちは、全体の7.6%(電通調べ)と言われています。これは小学校のクラスに約3人いる計算です。見た目だけでは分からないので「いない」のではなく、なかなか「言えない」ことが多いのです。このコラムでは、自分らしく生きる香川のLGBTの方々の今を発信します。

タイトル:“私が目醒めた”1枚

PROUD(プラウド)香川副代表 高野 晶(タカノ アキ)さん
聞き手 岡 薫(アライ)


「お見合い写真にしてね(笑)」とレスリー・キー氏は、撮影が終わると、高野晶さんにそう声を掛けた。シンガポール出身のレスリー・キー氏は、レディ・ガガ、浜崎あゆみなどを撮影したことなどで知られる世界的な有名な写真家だ。高野さんにとっては、夢のような時間であり、その一言が、とても大きな“自信”になった。


高野晶(あき)さんの生まれた時の名前は晃(あきら)さん。生まれた時の戸籍の性別は男性で、今は女性として生きているトランスジェンダーだ。
絵が好きだった高野さんは、中学は美術部に、高校、大学は、美術系の学校に進学した。当時から、なんとなく自分自身が「普通の男の子とは違う」という認識はあったものの、自分が何者かが、まだよく分からなかったと言う。高野さんの人生が大きく変わったのは、大学卒業間近の頃。心と体の性が一致しない人「性同一性障害」のことを本で知り「私のことだ」と思ったそう。初めて「体は男性だけど心は女性で、体も女性でありたい」と強く願っている自分に気づけたのだ。そして、勇気を振り絞り、近しい友人と家族にカミングアウト。専門病院で性同一性障害の診断を受けると、心はとても落ち着いたという。しかし、同時に、男性として見られることに、それまで以上に強いストレスを抱えてしまい、部屋に引きこもるようになったそう。


 「普通に女性として生きたいんです。」高野さんは、そう強く言う。性別適合手術(去勢手術)やホルモン治療を続けるために、一次的にニューハーフとして働いたこともあるが、女性でも男性でもなく生きていく世界では、女性として生きたいと願う「自分の心」を殺さなければならず、強いストレスを抱いたそう。しかし、生まれつき男性だった人が、女性としてすんなりと生きていけるほど、世間はまだまだ寛容ではない。ニューハーフバーを卒業し、デザイナーとして働いた彼女が、最終的に選んだのは、エステティシャンの仕事。生まれて初めて女性として生きる「自分らしい道」を手に入れたのだ。高野さん27歳のとき。
そして、戸籍上の性別も男性から女性に変えた高野さんだが、今度は逆に、男性だった過去を隠すような生活に、本当の自分らしい生き方は何かと思い悩むようになっていた。

自分らしい生き方とは何か、高野晶にしかできない生き方とは何かを模索する日々・・・。そんな時に出会ったのが、レスリー・キー氏が、日本の女性を応援するプロジェクトだった(2012年)。日本中の女性4,400人以上の中から人気投票で選ばれた上位100人の女性が、彼に写真を撮影してもらえるというもので、アートの勉強をしていた高野さんにとって憧れの写真家に撮影してもらえるかもしれないビックチャンスに心が踊った。そこで、意を決した高野さんは、インターネットを通じ日本中にトランスジェンダーであることをカミングアウト。もしも、上位100人に選ばれたら、高野さんと同じように性同一性障害に悩む人たちにすごい勇気とパワーを与えられるのではないか?これこそ高野晶にしかできないことなのではないか?と信じて・・・。
そんな高野さんを、彼女の友人、そのまた友人・・・・として彼女を知らない人も含め、大勢人が応援し、見事、当選。本当に自分らしく生きることに誇りと情熱をかける一人の女性を捉えた1枚が誕生した。


撮影当日、レスリー・キー氏がさらりと口にした「お見合い写真にしてね」という一言は、まさに、彼女が女性として「自分らしい人生」を歩むための原動力となった一言だった。「レスリーは、普通の女性として生きたいと思う私の思いを汲み取ったからこそ、クールな表情ではなく、自然に微笑んだ1を選んだのではないか?」と高野さんは言う。

現在高野さんは、仕事のかたわら、性に悩む子供達のサポートをしたいと、香川県の学校や近県の大学で講師としても活動している。そして、彼女に自分らしく生きる勇気を与えたレスリー・キー氏が日本のセクシュアルマイノリティの人たちを撮影するイベント「OUT IN JAPAN SETOUCHI」を今、手がけている。(201810月高松市で開催)。自分らしく最高の写真を撮影し、他のセクシュアルマイノリティの人たちにも勇気を与えられるような人を1人でも増やしたいと熱く語る高野さん。「東京でも大阪でもない、香川県で開催する「OUT IN JAPAN SETOUCHI」というイベントをカミングアウトのきっかけにして欲しい。カミングアウトには、勇気も必要だけど、チャレンジするとそれまで自分が築いた人間関係がリアルに見える。自分を応援してくれる人もこんなにいるんだ!とを知ることで勇気が持てた」と話す高野さん。
仕事と講師活動、イベント準備に三足のわらじを履きこなす高野さん。体力的にも厳しく追い込まれることもあるが、「私のように、自分らしく生きるきっかけを作りたい」と一心に、まっすぐに自分の信じる道をひた走る。そう、今、彼女の人生は、彼女にしかできないことで溢れている!

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「OUT IN JAPAN SETOUCHI」
10月6日(土)~10月8日(月・祝)
サンポート高松にて開催決定!

◆LBGTQモデル希望者エントリー受付中
http://goodagingyells.net/join/outinjapan_setouchi/
目指せ、参加モデル100人!

「OUT IN JAPAN SETOUCHI」
◆運営ボランティア募集中
お手伝いをしてくださる方はこちらまで。
https://setolgbt.blogspot.com/p/blog-page.html

「OUT IN JAPAN SETOUCHI」
◆協賛受付中
https://setolgbt.blogspot.com/p/s.html

「OUT IN JAPAN SETOUCHI」
◆個人からは、クラウドファンディングで協賛受付中
https://greenfunding.jp/fca/projects/2425